ローカル線の回顧録

1970年代後半から2000年頃までのローカル線の記録

第1186話 1993年三井三池:店じまいが始まった頃(その2)

三池港構内の奥には、失業した機関車たちの異様な光景が展開していました。これらの機関車はもう復帰することはないと思われました。同型の機関車が何台か、すでに保存を前提?に整備されている様なので、ここの機関車はいずれ解体処分になる感じがしました。願わくば、これらの機関車の希少価値を理解された方に、引き取ってもらえれば、それに越したことはありませんでした。

 

1.No.6 (三池港:1993年9月)

このNo.6は、通称「ガメ」と呼ばれる三池炭鉱では最も古い1911年製の現役機関車でした。電気機関車黎明期のGE製の舶来品です。もともとが鉱山用の機関車だったようで、キャブには扉がなく、乗降は妻窓から行っていたそうです。

 

2.No.6 (三池港:1993年9月)

No.6は正面から撮影すると、後ろの車両が写ってしまうほど背の低い機関車です。こんなに小さいのにナローゲージ車両ではないことも特徴です。こんなグロテスクな車両ですが、ここまで生き延びると立派な記念物です。

 

3.No.6+No.16+No.31 (三池港:1993年9月)

ここでは、3種類の機関車が一度に撮れましたが、No.16とNo.31はかなり荒廃しており、もう廃車解体待ちの様でした。

 

4.貨車と客車の廃車体群 (三池港:1993年9月)

そして、三池港構内の端までやって来ました。ここは1989年の訪問時にも来た場所ですが、相変わらずの産廃置き場でした。錆びた鋼製貨車がいわくありげです。

 

5.ホハ200形客車の廃車体 (三池港:1993年9月)

ホハ200形客車の廃車体も健在?でした。しかしボロボロです。この客車は、三池鉄道がかつて旅客輸送を行う地方鉄道だったことを伝える証拠物件でした。

 

6.ナローの鉱外軌道跡 (三川坑~土場:1993年9月)

三池鉄道の機関車を一通り見せて頂いた後は、ナローの廃線確認です。ここは三川坑の資材運搬用だった坑外軌道の廃線です。この4年前の訪問時にはまだ現役の路線でした。この写真の前方の空き地が坑木を備蓄していた土場で、ナローの機関車の車庫もあった場所です。その頃の様子は第372話~第375話をご覧下さい。

 

7.ナローの鉱外軌道跡 (三川坑~土場:1993年9月)

このナローの橋梁は諏訪川に掛かる通称「ガタガタ橋」です。この橋を見ていると、今にもノッポTLが走って来そうです。軌道の撤去後も人道橋として存続していましたが、広い土場は公園として整備されている最中でした。

今回は現役当時の三池鉄道の最後の話題となりますが、その後も三池鉄道の機関車は専用線として残った区間の貨物輸送や貨車の入換用として、2020年まで生き延びました。最後まで残った機関車は現在も保管されている様です。