安善駅から浜安善ヤードまで1㎞程の道程ですが、その延長上にあった石油会社の引込線はすでに跡形もありませんでした。かつて、浜安善は大手石油会社の石油備蓄タンクがひしめき合う一帯でしたが、ある時期に浜安善から石油会社はほとんど撤退したようで、それと共に各社につながっていた引込線もなくなりました。現在は浜安善に残る米海軍の石油油槽所の引込線しか存在しません。
1.浜安善支線の撮影ポイント
上図は、安善橋から先の撮影ポイントを示したもので、〇番号は以下の写真番号を示します。今回は㉔~㉟までをお伝えします。
㉔ 油槽所引込線ゲートから安善橋方向を臨む(安善二丁目:2024年4月)
写真㉔は、唯一残っていた油槽所の引込線が、浜安善ヤードから道路を横断して油槽所へ引き込まれている場所です。道路左側は油槽所のゲートです。道路右側の電柱脇に市バスの終点である安善町バス停が、ちょっとだけ写っています。
㉕ 浜安善支線の終端部から安善橋方向を臨む(安善二丁目:2024年4月)
さて、浜安善支線のヤードは、かつて浜安善貨物駅でした。現在はもう駅ではなく、単なる引込線の終点です。かつては、このヤードから近隣の石油会社へ引込線が何本か存在していました。そして、写真㉕は、ヤードの南端である浜安善支線の終端部です。写真の右端にコンクリート製の車止めが写っています。
㉖ 浜安善支線の終端部車止め(安善二丁目:2024年4月)
写真㉖は写真㉕を少し引いて撮影したものですが、写っている強烈なコンクリートブロックが浜安善支線終端の車止めです。かつては、この車止めはなく、線路はこの先へ延びていましたが、現在は建物が建っています。ちなみに、この車止めの右側の空き地には、浜安善駅の駅舎が建っていましたが現在はありません。手前の道路の右側は企業のゲートですが、ここで市バスが転向します。
㉗ 横浜市バスと安善町降車バス停(安善二丁目:2024年4月)
写真㉗は、市バスが終点のバス停にちょうど到着したところです。線路もバスもここまでですが、まだこの先へ彷徨は続きます。
㉘ 油槽所沿道から安善橋方向を臨む(安善二丁目:2024年4月)
陽の向きの都合で、安善橋方向を撮影した写真ばかりですが、実際は反対方向へ歩きました。写真㉘の左側は油槽所です。立入禁止ですが、幸い沿道のフェンス越しに中の様子が確認できます。この先は油槽所のフェンスに沿って歩きます。このフェンスの向こう側には、引込線が見えます。
㉙ 沿道から油槽所を臨む(安善二丁目:2024年4月)
フェンスの向こう側は広大な油槽所です。星条旗がたなびいていますが、フェンスの向こうは治外法権なのか?しかし、ここは元々日本石油の製油所だったそうです。
㉚ 沿道から油槽所を臨む(安善二丁目:2024年4月)
沿道から油槽所の石油積込み施設に入線したタンク車が見えました。引込線のレールは錆びていましたが、現在もタンク車の出入りは続いている様です。しかし、この日は走らないようです。ところで、ここにはスイッチャーがいません。よって、JR貨物の機関車が油槽所構内まで乗り入れているようです。
㉛ 沿道から油槽所を臨む(安善二丁目:2024年4月)
フェンスの網目からスマホで撮ると、フェンスを気にせずに、こんな写真が撮れました。手前の草むらにも線路が敷かれています。まさに緑化軌道ですが、これは廃線の様です。
㉜ 沿道から油槽所を臨む(安善二丁目:2024年4月)
そして、ワム8のダルマも・・・。フェンスをクローズアップすると、とても臨場感が伝わります。かつて、この場所ではこんな写真など撮れませんでしたが、時代が変わったと言うことなのか?
㉝ 沿道終端から安善橋方向を臨む(安善二丁目:2024年4月)
油槽所のフェンスに沿って、道路の終端まで歩きました。写真㉝は道路の終端から歩いてきた道路を撮影したものですが、右側の工場は化学関係の会社の様で、多くのタンクローリーが入場の順番待ちをしていました。この工場ができる前は、日本ガテックスの引込線が、浜安善ヤードからこのあたりまで延びていたはずですが、すでに痕跡すらありません。この工場のゲート前で交通整理をする警備のオジサンが寄ってきて、最近はこの場所に写真を撮りに来る人が結構いるとのことで、工場の中の写真は撮影禁止と言われましたが、そっちは全く興味がありません。
㉞ 沿道終端から油槽所を臨む(安善二丁目:2024年4月)
写真㉞は、終端部の油槽所の様子です。写真の右側には、廃線となった線路の車止めが写っています。この写真の左側は京浜運河です。
㉟ 沿道終端から京浜運河を臨む(安善二丁目:2024年4月)
道路の終端から京浜運河を撮影しましたが、ご覧の通り、頑丈なバリケードが・・・。運河の向こうは扇島です。最近は、どこの港湾地区も岸壁へ立入ることができません。安全と防犯の理由なのでしょが、波止場の情緒など全くありません。
さて、ざっくりと2024年4月時点の浜安善支線の様子をお伝えしましたが、いまだに、この様な貨物路線が健在であることを確認できました。こんどは、「米タン」が走る日に再訪問したいと思います。
おわり。