ローカル線の回顧録

1970年代後半から2000年頃までのローカル線の記録

号外2025.03.16:神奈川臨海(水江):水江線の面影

神奈川臨海鉄道水江線の廃線跡を終点だった水江町から辿ってきましたが、川崎貨物駅構内の西端にあるJR貨物川崎車両所塩浜派出(貨車の検車場)の脇から、現在も旧水江線の線路が残っていました。これは検車場へ出入りする貨車の回送ルートが水江線を使用していたため、水江線廃止後も線路が残されたものですが、検車場へ出入りする側線の分岐から先は列車は走らないので、実質廃線のまま放置されています。

 

地図1.塩浜町周辺撮影地点 (引用:国土地理院1/25000地形図 GSI Maps)

今回の撮影ポイントは、地図1に示す写真㉙~㊱です。

 

写真㉙

写真㉙は現存する旧水江線の線路を、その終端部から川崎貨物駅方向に撮ったものです。写真の線路の左側の建物が貨車の検車場です。検車場の手前には日本石油輸送㈱塗装のタンク車がチラッと見えます。

 

写真㉚

写真㉚はほぼ同じ場所で、線路の終端方向を撮ったものです。線路は唐突に途切れていますが、車止めの先の草むらは水江線の廃線跡です。

 

写真㉛

写真㉛は検車場横の旧水江線の線路を撮ったものですが、検車場が少し高い位置にあるため、緩い下り勾配になっています。

 

写真㉜

写真㉜は、旧水江線と検車場及び車両留置線の全景です。一番左の線路が旧水江線です。この写真の手前で検車場に出入りする側線が旧水江線から分岐しています。その分岐点まで旧水江線は現役ですが、この先の旧水江線には車両は入線しないので実質廃線です。

 

写真㉝

写真㉝は写真㉜の撮影場所から振り向いて、川崎貨物駅方向を撮ったものです。右端の錆びた線路が旧水江線です。この先で検車場の側線と合流してそこから現役路線となります。この写真の左側の樹木の向こう側には東海道貨物支線が通っています。この先は線路が高い場所に敷設されているので、沿道から撮影することができません。

 

写真㉞

写真㉞は川崎貨物駅の西側を跨ぐ国道132号線の塩浜陸橋の北寄りから浜川崎方向を撮ったものです。写真の右側の線路は東海道貨物支線で、一番左側の線路が旧水江線です。

 

写真㉟

写真㉟は、写真㉞を撮影した塩浜陸橋の南寄りから浜川崎方向を撮ったものです。一番手前の線路が旧水江線です。

 

写真㊱

写真㊱も塩浜陸橋から川崎貨物駅方向を撮ったものです。写真の下を通る線路が旧水江線です。前方にはタンク車のヤードが見えますが、その向こうが神奈川臨海鉄道川崎貨物駅です。

旧水江線は貨車の検査回送時に神奈川臨海鉄道の機関車が貨車を牽引して検車場まで走ります。この区間だけは水江線の現役時代を彷彿する光景が見られます。しかし、水江線の存在を知っている人も減ってきたのではないでしょうか。恐らく、川崎臨港道路が完成する頃には、水江線の痕跡はなくなると思います。もう川崎市電や京急大師線が塩浜を走り、その線路に国鉄の貨車が乗り入れていたことと共に、水江線も記憶の彼方に葬られてしまうでしょう。

さて、今回の水江線廃線跡探訪はほとんど駆け足で踏破した感じです。改めて、池上町、塩浜町、夜光町辺りの川崎市電や引込線の廃止後の現状について、もう少し詳細を確認したいと思います。だんだん深みに嵌ってきました。

おわり