ローカル線の回顧録

1970年代後半から2000年頃までのローカル線の記録

第951話 1994年富山地鉄:路面電車体質改善の頃

富山地方鉄道では、1991年~1993年に元京阪電鉄3000系の車体と営団3000系の台車を組合わせたモハ10030形を導入し、鉄道線の旧型車を一掃して体質改善を図りました。一方、軌道線の方はそれほど古い車両ではなく、まだまだ車両の置き換えなどないと思っていたら、なんとVVVFの新車が導入されました。はたして景気が良かったのか?

 

1.デ7013、デ8002 (富山駅前:1994年5月)

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これまで、軌道線は路線の縮小に伴って、余剰となった古い車両から順番に廃車となりました。しかし、古いと言っても軌道線の車両は全てデ7000形と称する全金製の車両なので古くはありません。

 

2.デ7021 (南富山駅前:1994年5月)

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もともと、デ7000形は古い小型車の置き換え用に1957年から1965年にかけて、日本車輌で22両製造されたものです。この頃の路面電車で昭和30年代製は、まだまだ新しい部類でした。しかし、デ7000形は見るからに簡素な造りで、車体が老朽化していたのかも知れません。

 

3.デ7016 (南富山駅前:1994年5月)

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かつて軌道線には、笹津線や射水線の列車が乗り入れており、デ7000形はそれらを補完するような存在でしたが、笹津線も射水線もなくなり、軌道線自体も路線縮小となって、1983年~1984年にデ7001~7006(7004は欠番)が廃車され、1993年にデ8000形の導入で非冷房だったデ7007~7011が廃車となり、1994年時点ではデ7013~7022が健在でした。

 

4.デ7012 (南富山駅前:1994年5月)

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デ7012は、この時点で製造が一番古いグループでした。ところで、富山地鉄のデ7000形は、加越能鉄道万葉線のデ7000形の兄貴分の車両なので、ドア配置こそ違いますが、車体の造りや前面デザインはいっしょです。

 

5.デ7020 (南富山駅前:1994年5月)

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デ7020は、1965年製の最新グループですが、初期車から基本仕様は変わっていません。なお、このグループは屋根に電照式の広告を設置しています。

 

6.デ3533+デ3534 (南富山駅前:1994年5月)

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そして、今回も健在だった除雪車のデ3533,3534です。除雪車と言っても、排雪装置は付いておらず、専ら融雪剤の散布車です。冬期以外はここで長い昼寝です。

 

7.デ3533 (南富山駅前:1994年5月)

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この車両は戦後製の4輪単車ですが、この様な小型車が1951年に5両も製造されました。デ7000形の増備で廃車となり、この2両が除雪車に抜擢されましたが、この様な小型車が1970年頃まで在籍していたとは驚きです。