今回は、関東鉄道の前身である常総筑波鉄道の自社発注車で、液体式の新系列となったグループです。
常総線に初めて新製導入された液体式の新系列気動車は、キハ700形(当初はキハ48000形)でした。これ以降の新車は、しばらく日本車輌製が続きますが、その頃の日本車輌は地方私鉄向けの標準型気動車確立に精力的で、同時期の国鉄気動車とは全く異なる斬新なデザインの車両を手掛けていました。
1.キハ702 (水海道:1987年3月)
キハ700形(注1)は常総筑波鉄道が常総線の「特急しもだて号」に使用する目的で導入した2ドア、セミクロスシートのロマンスカーでした。1957年に2両新製され、旧態然とした常総線に新風を吹き込んだ車両です。当時国鉄はキハ10系を増備していた頃ですが、誰が見てもこちらの方が良い車両に見えました。
(注1)キハ700形の車歴
関東キハ701,702←常総筑波キハ701,702←常総筑波キハ48001,48002:1957年日本車輌製
2.キハ703 (取手:1987年1月)
常総線の「特急しもだて号」は、下館~上野間の旅客を国鉄水戸線、東北本線経由ではなく、常総線、常磐線経由に誘致するために登場したわけですが、もともと単線で列車本数が少ない常総線において、止まらない特急車は沿線乗客に対するサービス低下にほかならず、あえなく撃沈となり、ロマンスカーのはずだったキハ700形はいつしか一般車に格下げとなり、1975年には“関東流の洗礼”を浴びてしまいました。
3.キハ702 (水海道:1987年1月)
ところで常総線では、 キハ700番代を名乗る車両が他にもいました。
実はキハ700番代は総括制御ができる液体式気動車に対する新たな形式として生まれたもので、当初から液体式だったキハ48000形が1962年の総括制御化によってキハ700形(キハ701,702)に改番されました。そしてこのキハ700番代は、機械式気動車からの液体化改造車にも適用され、新たにキハ703~707がこのグループに加わりました。しかし、新車や導入経緯の異なる中古車を同じ形式にまとめるのは無理があり、結果として改造車はキハ703形(キハ703)、キハ704形(キハ704)、キハ705形(キハ705~707)と区分されました。このうち、キハ703とキハ704はコンビを組んで2連化されましたが、キハ705~707は“関東流の洗礼”を浴びてキハ610形に生まれ変わりました。
4.キハ702 (水海道:1987年3月)
一般車化されたキハ700形は両運車であったことから増結用に使用されました。なお、常総線で3ドアの両運車はこのキハ700形(キハ701,702)とキハ751~754しか存在しませんでした。キハ751~754はダブルエンジン車なので、キハ700形の方がまめに使用されていたようです。
5.キハ701 (水海道:1987年3月)
キハ700形の写真ですが、なぜかキハ702ばかり撮っており、キハ701はこの写真くらいしか撮っていませんでした。
6.キハ502+キハ750形 (水海道:1987年1月)
常総筑波鉄道は、常総線にキハ48000形(キハ700形)を導入した後、今度は筑波線の急行用に新車を導入しました。それが日本車輌製の標準型気動車として一世風靡したキハ500形でした。この車両については第57,58話で説明済ですが、なぜかキハ501,502の2両が常総線に転籍していました。筑波線とは違い常総線仕様としてロングシート化されましたが、幸いキハ700形のような改造はされず、オリジナルの外観を維持していました。
7.キハ502 (水海道:1987年3月)
キハ500形は、関東鉄道としても記念すべき車両だと思います。しかし、通勤路線である常総線において、2ドア車は肩身が狭く感じられました。